
広島県福山市で農地の相続の相談もできる行政書士藤井吉彦事務所です。
2024年4月に相続登記が義務化されて以降、
当事務所でも「実家の農地をどうするか?」というご相談が増えています。
そんな中、農地を生きているうちに子供へ譲る「生前贈与」に関するルールが、
今大きく変わろうとしているというニュースが入ってきました!
農地って勝手に譲れないの?

まずは、現行の法律では、
農業を継がない子供に農地を贈与するのは非常にハードルが高い
ということを知っていただくため、
説明をさせていただきます。
なぜ簡単に子供に農地を譲れないのか?
それは大きく分けて「農地法の壁」と「税金の壁」の2つが存在します。
農地法第3条の「許可」が下りない!?

農地を売買したり、贈与(プレゼント)で名義を変えたりするには、
原則として市町村の「農業委員会の許可(農地法第3条許可)」が必要です。
この許可をもらうためには、
「受け取る側(贈与される側)が、本格的に農業をやる人であること」
が厳しく問われます。
具体的には以下のような要件があります。
- 農作業常時従事要件: 受け取る人(またはその世帯員)が、年間150日以上など、継続的に農作業に従事すること。
- 全部効率利用要件: 受け取った農地を含め、持っている農地すべてを効率的に耕作すること。
つまり、実家を離れて都会でサラリーマンをしている子供や
農業をする予定のない親族には、現行法ではそもそも農地を贈与する許可が下りるのは難しいということです。
税金の壁:高額な贈与税と「猶予制度」の厳しさ

仮に、子供が地元で農業を継ぐ意思があり、農業委員会の許可が下りたとしても
次に立ちはだかるのが税金の問題です。
- 高額な贈与税: 一般的に、亡くなった時にもらう「相続税」よりも、生きている間にもらう「贈与税」の方が税率がかなり高く設定されています。
- 「農業後継者の贈与税の納税猶予の特例」の厳しさ: 農業を継ぐ子供への贈与税を実質免除(猶予)してくれる特例制度がありますが、非常に条件が厳格です。
- 親(あげる側)が持っている農地を「一括してすべて」贈与しなければならない。
- 子供(もらう側)は、ずっと農業を続けなければならない。
- もし途中で農業をやめてしまったり、農地を駐車場などに変えたりすると、猶予されていた多額の贈与税と利子(利子税)をまとめて一括で払わなければならないというペナルティがあります。
法務局での「名義変更(登記)」ができない

普通の家や土地であれば、親子の間で「贈与契約書」を作れば法務局で名義変更ができます。
しかし、農地の場合は「農業委員会の許可書」を添付しないと、法務局が名義変更を受け付けてくれません。
そのため、「とりあえず名義だけ子供に変えておこう」ということが実務上不可能な仕組みになっています。
農地の贈与は難しい?だから国が動き始めました!

現在、
親が亡くなるまで子供に名義を移すのが難しい →
いざ相続が起きると、農業をやらない子供が押し付けられて放置される(耕作放棄地・未登記農地になる)
という悪循環が全国で起きています。
ということで、農地を生きているうちに子供へ譲る
「生前贈与」に関するルールが、今大きく変わろうとしているというニュース
に戻ります。
2026年5月8日の日本農業新聞より
⇒不在地主で新対策検討 農家以外へ生前贈与視野 農水省
↑こちらのニュースは、農水省は2026年5月、農地の不在地主化を防ぐため、
農業従事者以外の親族への生前贈与を促進し、農地利用の円滑化を図る新制度の検討に入りましたというものです。
今後、農地の贈与や相続に関わる制度となりそうなので、
当事務所でも注目していきたいと思います!
以上
最後までお読みいただき誠にありがとうございました。


